日本書紀 材木の起源

作者名  
作品名  日本書紀 巻1 神代 上 第8段 一書第4・5
成立年代  
 その他  
 一書(あるふみ)に曰(い)はく、・・・。是の時に、素戔鳴命(すさのをのみこと)、其の子(みこ)五十猛命(いたけるのみこと)を帥(ひき)ゐて、新羅国(しらきのくに)に降到(あまくだ)りまして、曽尸茂梨(そしもり)の処に居(ま)します。・・・。初め五十猛神、天降ります時に、多(さは)に樹種(こだね)を将(も)ちて下る。然れども韓地(からくに)に殖(う)ゑずして、尽くに持ち帰る。遂に筑紫より始めて、凡て大八洲国(おほやしまのくに)の内に、播殖(まきおほ)して青山に成さずといふこと莫し。所以(このゆゑ)に、五十猛命を称(なづ)けて、有功(いさをし)の神とす。即ち紀伊国(きのくに)に所坐(ましま)す大神(おほかみ)是なり。
 一書
(あるふみ)に曰(い)はく、素戔鳴命(すさのをのみこと)の曰(のたま)はく、「韓郷(からくに)の嶋には、是(これ)金銀(こがねしろがね)有り。若使(たとひ)吾が児の所御(しら)す国に、浮宝(うきたから)有らずは、未だ佳からじ」とのたまひて、乃ち鬚髯(ひげ)を抜きて散(あか)つ。即ち杉(すぎのき)に成る。又胸の毛を抜き散つ。是、檜(ひのき)に成る。尻(かくれ)の毛は、是柀(まき)に成る。眉の毛は是櫲樟(くす)に成る。已にして其の用ゐるべきものを定む。乃ち称(ことあげ)して曰はく、「杉及び櫲樟、此の両(ふたつ)の樹(き)は、以て浮宝とすべし。檜は以て瑞宮(みつのみや)を為(つく)る材(き)にすべし。柀は以て顕見(うつしき)蒼生(あをひとくさ)の奥津棄戸(おきつすたへ)に将(も)ち臥さむ具(そなへ)にすべし。夫(そ)の噉(くら)ふべき八十木種(やそこだね)、皆能く播(ほどこ)し生(う)う」とのたまふ。時に、素戔鳴命の子(みこ)を、名づけて五十猛命(いたけるのみこと)と曰(まう)す。妹(いろも)大屋津姫命(おほやつひめのみこと)。次に柧津姫命(つまつひめのみこと)。凡(すべ)て此の三(みはしら)の神、亦能く木種を分布(まきほどこ)す。云々
 


 詠いこまれた花   スギヒノキマキクス



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